『フェイクマミー』に原作はある？完全オリジナル脚本の理由と制作背景を徹底解説

『フェイクマミー』に原作はあるのか？

重厚なテーマやリアルな展開から、原作付きのドラマだと感じた方も多いかもしれません。

しかし、実はこの作品には小説や漫画といった原作は一切存在せず、脚本家・園村三さんによる完全オリジナル脚本で制作されています。

現代社会の複雑な課題に鋭く切り込むこの物語は、原作に縛られないからこそ可能になった深い表現が特徴です。

本記事では、『フェイクマミー』がどのように生まれたのか、その背景や脚本家の創作エピソード、登場人物とキャスト情報まで詳しく解説していきます。

この記事を読むとわかること

『フェイクマミー』が原作なしで制作された理由
脚本家・園村三さんの創作背景とキャリア
物語に込められた社会的メッセージとキャスト情報

『フェイクマミー』に原作はある？完全オリジナル脚本の真相
脚本家・園村三のプロフィールと創作エピソード
原作なしで描かれる現代社会のリアル
フェイクマミーの登場人物とキャスト陣の魅力

『フェイクマミー』に原作はある？完全オリジナル脚本の真相

深みのある設定や社会派なテーマ性から、「原作があるのでは？」と感じた方も多いのではないでしょうか。

しかし結論から言えば、『フェイクマミー』には小説や漫画といった“原作”は一切存在しません。本作は、脚本家園村三さんによる、テレビドラマとしてのオリジナル企画から生まれた作品です。

その背景には、テレビ局 TBSテレビが推進する“次世代脚本家発掘プロジェクト”〈TBS NEXT WRITERS CHALLENGE〉が深く関わっています。園村三さんはこのプロジェクトの第1回で大賞を受賞しており、作品はその受賞作としてドラマ化される運びとなりました。

原作なし＝ゼロからの出発ということは、言い換えれば“制約が少ない”ということでもあります。既存の設定やファンの期待に縛られず、脚本段階から自由に物語を設計できることで、〈母親代行＝フェイクマミー〉という斬新なテーマが実現しています。プロデューサーもこの点に触れ、〈母親業を“アウトソーシング”する〉という社会的視点を本作の根幹としています。

ただし「原作なし」ということは、反対に“予備知識なしで観る”という視聴者にとってのハードルもあります。だからこそ、冒頭から登場人物の関係性や設定を丁寧に描き、物語の世界に早く入ってもらう構成になっています。さらに、「原作付きドラマではこういう展開が多い」という先入観を逆手に取りながら、予測を裏切る展開が随所に用意されています。

また、既存のメディア展開（小説化／漫画化／映画化）をベースにしないことで、視聴者の“先入観”や“固定観念”を壊す余地が生まれています。これにより、例えばキャラクターの裏側や家庭の闇、幼稚園・学校という教育現場の構造的問題など、リアルかつ多面的なテーマを映し出すことが可能になっています。

以上のように、『フェイクマミー』は“原作なしの完全オリジナル脚本”であるからこそ、その世界観と設定、テーマにおいて既存のドラマとは一線を画す作品として設計されています。

原作は存在しない完全オリジナル脚本

『フェイクマミー』には原作となる小説や漫画は一切存在しません。

このドラマは、脚本家・園村三さんがTBS主催の脚本家発掘プロジェクト「NEXT WRITERS CHALLENGE」で大賞を受賞した企画をもとに制作されました。

完全オリジナルのストーリーだからこそ、自由な発想と展開が可能となり、「母親代行」というテーマにリアリティと独自性を持たせることができています。

プロデューサー陣もこの点に注目しており、「既存作品の映像化では表現しきれない切り口を目指した」と語っています。

SNS投稿から着想を得たリアルなストーリー

本作の着想は、X（旧Twitter）に投稿されていた「家政婦が母親のふりをして、名門小学校に子どもを通わせている」というエピソードから始まりました。

奥様がこの投稿を見つけ、園村さんに共有したことが、作品誕生のきっかけだったと語られています。

園村さん自身、子どもを私立小学校に通わせており、育児と仕事の両立の難しさを日々実感していたことから、リアルな描写につながったといいます。

つまり、現実のSNS投稿がフィクションの原点になっており、それが作品のテーマ性と深くリンクしているのです。

原作がないことのメリットと作品への影響

原作のないドラマには、既存ファンの期待や設定に縛られないという“自由度の高さ”があります。

『フェイクマミー』では、この自由さを活かし、現代社会が抱える問題——ジェンダー、教育格差、母性の再定義など——に鋭く切り込んでいます。

また、予測不可能な展開やSNSでの考察が盛り上がりやすいのも、原作が存在しない作品ならではの魅力です。

園村さん自身も「ドラマだからこそできる表現を目指した」と語っており、これは視聴者にとっても新鮮な体験となっています。

結果として、原作に頼らず“現代社会のリアル”を描くというコンセプトが、作品全体に一貫したメッセージ性と強度を与えているのです。

脚本家・園村三のプロフィールと創作エピソード

『フェイクマミー』の世界観とテーマ性は、脚本家・園村三（そのむらさん）さん自身の人生経験や信念から生まれたものです。

新聞記者や放送作家を経て、40代で脚本家デビューという異色の経歴は、ドラマ制作の文脈でも特に注目されています。

彼が脚本家として歩み始めたのは、日本シナリオ作家協会が運営する脚本講座「シナリオ講座」の第76期に参加したことがきっかけでした。

当時、子育てと仕事の両立をしながら、未経験の脚本執筆をゼロから学び、数年後にはTBS主催の「NEXT WRITERS CHALLENGE」で大賞を受賞。

この受賞作こそが『フェイクマミー』です。

新聞記者から放送作家、そして脚本家へ

園村さんは1979年、東京都出身。

新聞社で記者としてキャリアをスタートし、2012年からは放送作家としてテレビ番組の構成などにも携わってきました。

しかし、「子どものころに憧れていたドラマの世界で何かを生み出したい」という想いを捨てきれず、40代で再び挑戦の道を選びます。

「人生で最初に描いた夢に戻った」というその挑戦が、結果的に『フェイクマミー』という強い社会性を持つ作品を誕生させました。

X（旧Twitter）の投稿が創作の出発点

『フェイクマミー』の着想のきっかけは、脚本家の奥様がX（旧Twitter）で見つけた、とある投稿だったといいます。

「家政婦が母親のふりをして、名門私立小学校に子どもを通わせている」

この衝撃的な一文が、園村さんの心に深く刺さり、“母性とは何か”“子育ての本質とは”という問いへと昇華されていきました。

実際に園村さんご自身も、私立小学校に通うお子さんを育てる中で、仕事との両立や社会的プレッシャーを経験されており、それが作品のリアリティに繋がっています。

キャラクターを深掘りする“質問設計”の手法

園村さんが脚本作りで特に大切にしているのは、「キャラクターへの10個の質問を用意する」という手法です。

これは、登場人物に“血を通わせる”ための設計で、「このキャラはどういうときに怒るか？」「誰にだけは弱音を吐くか？」など、物語に出てこない情報まで細かく設定します。

この工程によって、キャラクターが自然に動き出し、セリフや行動にも一貫性が生まれるのです。

実際に園村さんは、第1話の脚本をこの手法を使ってわずか2週間で仕上げたとのことです。

脚本家としての信条と今後の目標

「自分は何を書くべきなのか？」

これは園村さんが脚本家として何度も自問してきた問いです。

彼は、日本シナリオ作家協会の講座で講師から言われた「それはあなたが書くべきことなのか？」という言葉を、今も大切にしているそうです。

今後は、長編ドラマや映画の脚本にも挑戦したいと語っており、「作品に真摯に向き合い続けること」を自身の信条としています。

育児と仕事の両立を経験したからこそ書けるテーマにこだわり、リアリティとメッセージ性を兼ね備えた作品を今後も届けてくれるはずです。

園村三さんの脚本家としての想いや、創作エピソードの詳細については、以下のインタビューもあわせてご覧ください。

▶ 園村三さんインタビュー記事はこちら（日本シナリオ作家協会公式サイト）

原作なしで描かれる現代社会のリアル

『フェイクマミー』が多くの視聴者の心を動かしている理由のひとつに、単なるエンタメを超えた鋭い社会的視点が挙げられます。

完全オリジナル脚本だからこそ、脚本家・園村三さんの思考や経験がダイレクトに反映され、現代日本社会が抱える問題がリアルに描かれています。

このセクションでは、「子育てと仕事の両立」「偽物の母親という構図」「教育格差」「現代日本の価値観」といった、物語に織り込まれた社会テーマを深掘りします。

「子育てと仕事の両立」に潜む社会の歪み

本作では、優秀なキャリア女性が、理不尽な人事で職を失い、代理母として名門小学校受験に挑むという構図が描かれます。

この設定は決してフィクションの世界にとどまらず、実際に多くの女性たちが直面している現実の縮図でもあります。

「育児とキャリアは両立できるはずなのに、社会構造がそれを許さない」──そんな現代の矛盾に焦点を当てた点は、共感と問題提起を同時に成立させています。

園村さん自身も働く親としての実感を持ってこのテーマに挑んでおり、そのリアルな感覚がドラマに強い説得力を与えています。

「偽物の母親」という構図が突きつける“本当の母性”とは

『フェイクマミー』というタイトルは、そのまま「母とは何か？」という問いかけにつながっています。

血のつながりがなくても母親になれるのか、母性は生まれ持つものなのか──。

こうしたテーマは、原作付きの作品では描写が制限されることもありますが、本作はオリジナル脚本であることを活かし、社会通念に挑戦する構図を貫いています。

「本当の母性とは何か？」という視点で物語を読み解くと、登場人物それぞれの内面に込められたメッセージがより深く感じ取れるでしょう。

教育格差と家庭の“見えない競争”

舞台は名門私立小学校。

そこに子どもを通わせるために“母親役を雇う”という発想は、現代日本の教育格差・学歴主義の象徴的な構図でもあります。

家庭の経済力や親の学歴が、子どもの未来を決定づけてしまうという問題を、ドラマは鋭く描いています。

また、親同士の見栄や虚構も交錯し、教育現場が「家庭の競争の延長線」にあるという皮肉がリアルに描かれているのも特徴です。

共感と違和感の間で浮き彫りになる“今の日本”

本作が原作を持たないことで、視聴者の声や感情がよりダイレクトに作品に反映されているのも重要な点です。

SNS上では「わかりすぎて辛い」「刺さる」という声が多く、登場人物の葛藤を自身に重ねて視聴している人が少なくありません。

このような“共感と違和感”のあいだにある緊張感こそ、ドラマが伝えたい核心だといえるでしょう。

園村さんも「現象としてのドラマを通じて、視聴者に問いを投げかけたい」と語っており、その信念が作品全体を貫いています。

フェイクマミーの登場人物とキャスト陣の魅力

『フェイクマミー』は、社会的テーマを描く骨太な脚本と同時に、魅力的な登場人物と実力派キャストによって物語の厚みを生み出しています。

本作に登場する人物たちは、単なる「善悪」では語れない複雑な内面を持ち、現代社会の“グレーなリアル”を映し出します。

それを表現する俳優陣の演技力もまた、視聴者の感情を大きく揺さぶる要素の一つです。

ここでは、主要キャラクターと演じる俳優たちの魅力について詳しくご紹介します。

花村薫（演：波瑠）

物語の主人公・花村薫は、東京大学卒のエリートでありながら、ある出来事をきっかけに仕事を辞め、人生に迷っている女性。

彼女が「母親代行」という前代未聞の役割を引き受ける中で、“母性”とは何か、自分にとっての生き方とは何かと向き合っていく姿が描かれます。

波瑠さんは、その内面の揺らぎや葛藤を、繊細な表情と丁寧なセリフ回しで表現し、視聴者の共感を呼んでいます。

日高茉海恵（演：川栄李奈）

元ヤンキー出身でありながら、ベンチャー企業「RAINBOWLAB」の社長として成功を収めた茉海恵。

SNSドリンク「虹汁」をヒットさせたカリスマ的存在でありながら、実はシングルマザーとして娘・いろはを育てています。

川栄李奈さんは、明るくも芯のある女性像を自然体で演じ、“強さと脆さ”を兼ね備えた現代女性のリアルな姿を体現しています。

黒木竜馬（演：向井康二／Snow Man）

茉海恵の地元の後輩で、「RAINBOWLAB」の副社長を務める黒木竜馬。

表向きはビジネスパートナーでありながら、“夫役”として薫と家族を装うという複雑な立場に。

向井康二さんは、軽妙さと真面目さのバランスが絶妙で、物語にユーモアと人間味を加えています。

佐々木智也（演：中村蒼）

名門小学校・柳和学園の教師。

かつては理想に燃える熱血教師だったが、現在は制度に従う無難な存在に。

中村蒼さんは、誠実さと揺らぎを持った人物像を演じ、登場人物の中でも特に「変化していくキャラ」としての成長を描いています。

個性豊かなキャラクターが織りなす“フェイク”と“リアル”の狭間

本作に登場するキャラクターたちは、いずれも「本当の自分」と「演じる自分」の間で揺れています。

それぞれが“フェイクな立場”を取りつつも、その中でリアルな感情が交差し、物語に深みを与えています。

演じている俳優陣の表現力と、脚本による多層的なキャラ設計が絶妙に絡み合い、視聴者に強い印象を残すドラマに仕上がっています。