ザ・ロイヤルファミリー 妻夫木聡が語る栗須役の核心

2025年10月スタートの話題作『ザ・ロイヤルファミリー』で、妻夫木聡さんが演じるのは、夢を失いかけた元税理士・栗須栄治。

彼の瞳に映るのは、競馬という未知の世界と、そこで生きる人々、そして馬たち。第1話で描かれた馬との触れ合いのワンシーンは、視聴者に彼の内面の変化を強く印象づけました。

本記事では、妻夫木さんのインタビューから見える栗須という人物の本質、そして彼が込めた熱い思いに迫ります。

栗須という人物に込めた“再生”の物語とは

税理士として働いていた栗須栄治は、ある挫折を機に“夢”や“自信”を失いかけていました。

そんな彼が出会ったのが、赤字続きの競馬事業を率いる社長・山王耕造と、その所有馬たち。

栗須の再生の物語は、この出会いと共に静かに、そして確かに動き出していきます。

妻夫木聡が語る「夢を失った大人」のリアリティ

栗須という役柄には、「再び歩き出す勇気を模索する大人の姿」が込められています。

妻夫木さんはインタビューで、“かつて夢を追っていたが、今は現実に押しつぶされているような人たちに寄り添う存在でありたい”と語っていました。

栗須が表情で見せる迷いや戸惑いは、まさにその心情を体現しています。

現代を生きる視聴者が共感する“等身大”の存在

第1話では、数字を重視する調査員として登場した栗須が、次第に人の想いや馬の命と向き合い始める様子が丁寧に描かれています。

特に印象的だったのは、馬に触れた瞬間に見せた、言葉にならない表情です。

あの一瞬に、視聴者の多くが“この人は変わる”という兆しを感じたはずです。

挫折と向き合いながら「誰かに感謝される」生き方へ

かつて父から「いつか誰かに感謝される仕事をしなさい」と言われていた栗須。

その言葉が再び彼の中に蘇るシーンでは、“自分が必要とされている”という実感が、彼に新たな覚悟をもたらしていました。

「ここで終わらせたくない」と声に出した瞬間、栗須の中で“他者のために生きる”という新しい人生が動き出したのです。

「馬との出会い」が栗須の人生を動かす

第1話で描かれた、栗須と競走馬の出会いは、彼の内面に確かな変化をもたらしました。

それは、ただの“調査員”から、“命と向き合う人間”へと変わるきっかけとなった瞬間です。

馬たちの存在は、栗須にとって“数字では測れない価値”を教えてくれる存在となったのです。

第1話の表情に込められた“変化の兆し”

セリ会場で初めて馬たちと出会った時、栗須は驚きと戸惑いを隠せませんでした。

しかし、足の悪いロイヤルイザーニャに近づき、ゆっくりと手を伸ばした瞬間、彼の顔に浮かんだ微かなやさしさと安堵が、心の揺らぎを雄弁に物語っていました。

「なぜだか涙が出そうになった」という視聴者の声がSNSに多く見られたのも、この表情の力が大きいと感じます。

馬と人の関係性が描く“感情の再起動”

栗須は加奈子から、「サラブレッドはたった3頭の種牡馬から生まれた血をつなぐ存在」と教えられます。

その背景には、多くの人々の努力と想いがあり、競走馬の命は単なるビジネスでは終わらないという現実があります。

その深さに触れた栗須は、調査員としてではなく、“一人の人間”として馬と向き合おうと決意するのです。

“調査”から“共生”へと変わる意識

耕造の「数字ではわからないことがある」という言葉に、最初は戸惑っていた栗須。

しかし、馬と関わる中で“成果”ではなく“信頼”を築く姿勢に気づき始めます。

「人間の信頼に賭けることはできません。でも社長が私に賭けることはできます」という言葉は、その象徴です。

馬との出会いが、栗須の人間としての再起動ボタンを押した瞬間だったと言えるでしょう。

細部に宿る演技へのこだわり

『ザ・ロイヤルファミリー』第1話を通して、多くの視聴者が感じたのは、妻夫木聡さんの“目”の演技の力強さではないでしょうか。

栗須という人物の内面の揺れや、変化の兆しをセリフではなく表情の機微で語る繊細な演技に、思わず心を奪われた人も多いでしょう。

このリアリティを支えるのが、現場での徹底したリサーチと、役作りへの深いアプローチです。

競馬シーンのリアリティを支える撮影秘話

ドラマにはJRAの全面協力が入り、実際の競馬場やトレーニング施設、牧場などが舞台として使われています。

馬の走る音、息づかい、スタッフや騎手の所作までリアルに描写されており、視聴者が「本当にそこにいる」ような臨場感を感じられたのは、演者とスタッフが細部までこだわった証です。

レースシーンでは、武豊さんが本人役で登場していたのも注目ポイントで、演出のリアリティへのこだわりが伝わります。

セリフ一つひとつに込めた“重みと覚悟”

「ここで終わらせたくない」「社長が私に賭けることはできます」――これらのセリフは、栗須という人物の信念の変化を象徴しています。

妻夫木さんはインタビューで、これらの言葉を“軽く言ってしまわない”ように意識したと語っています。

その場面に至るまでの感情の積み重ねを大切にしていたことが、視聴者の胸を打った理由でしょう。

“栗須の目線”で世界を見るということ

演技の中で妻夫木さんが特に大切にしていたのは、栗須の視線がどこに向いているかだと感じられました。

例えば、ロイヤルイザーニャと向き合う場面では、彼女の痛みや背景に気づいた瞬間の“目の揺れ”が画面に映し出されます。

言葉がなくても、心の動きが伝わる――そんな表現力こそが、栗須というキャラクターに深みを与えていたのです。

ザ・ロイヤルファミリー 妻夫木聡 インタビューのまとめ

『ザ・ロイヤルファミリー』第1話では、栗須という人物の出発点が丁寧に描かれ、そしてそれを支える妻夫木聡さんの繊細な演技が深い余韻を残しました。

馬と人、過去と未来、数字と感情という対比が描かれた中で、栗須は「再生」の第一歩を踏み出します。

そのすべてに込められていたのが、妻夫木さん自身の真摯な想いでした。

栗須という役を通して見せる“人間の再生”

人生のどこかでつまずいた時、人はどうやって再び立ち上がるのか。

栗須は、感謝される経験を通じて、自分の存在価値を取り戻していきます。

視聴者自身の人生にも重ねることができる、まさに“共感の主人公”だと感じます。

視聴者の心に残る「目の演技」の力

言葉を超えた感情の表現において、妻夫木さんの“目”の演技は、多くの視聴者の記憶に刻まれたはずです。

痛みを知り、優しさを知り、何かを守ろうとする視線の先に、栗須という人間の真の強さがありました。

今後、彼がどのように「競走馬」と「人」と向き合っていくのか、その物語にますます期待が高まります。