初回を観て、「展開の速さ」や「スタイリッシュな演出」、そして重くなりがちなテーマの中に光る主演ふたりの軽快なやり取りに引き込まれた方も多いのではないでしょうか。『ESCAPE それは誘拐のはずだった』は、そんな魅力的なスタートを切った話題作です。
実はこのドラマ、原作となる小説や漫画は存在せず、**完全オリジナル脚本** で構成されています。脚本を手がけるのは、緻密な人物描写と物語構成に定評のある **ひかわかよ** さん。
この記事では、本作がオリジナル作品であることの意義に注目しつつ、第1話の見どころや今後の展開予想、気になる伏線についても掘り下げていきます。
- 『ESCAPE』が原作なしの完全オリジナル脚本である理由
- 第1話の展開から読み取れる結以の行動や伏線のヒント
- 今後の展開を予想する考察ポイントと視聴の楽しみ方
オリジナル脚本であることが鍵:なぜ原作がないのか
『ESCAPE それは誘拐のはずだった』は、原作となる小説や漫画は一切なく、完全オリジナル脚本で描かれる“予測不能な逃亡劇”です。
この設定はただのスリルやミステリーにとどまらず、登場人物の関係性の変化や成長を丁寧に描くための土台にもなっていると感じました。
制約のないオリジナル作品だからこそ、視聴者の予想を超える自由なストーリー展開が可能になっているのです。
制作側の狙いと自由度
本作の演出を担当するのは『恋は闇』の小室直子氏、脚本は『放課後カルテ』などで知られるひかわかよ氏です。
ひかわ氏の脚本は、人間の心の揺れや社会的なテーマを繊細にすくい取るのが特徴で、今回も「誰もが幸せになっていい」というメッセージを作品全体に込めていると、主演の佐野勇斗さんが語っています。
つまり、“誘拐”という強烈な設定の裏にあるのは、人間同士のつながりや再生への希望なのです。
ひかわかよ脚本家のこれまでの作風との関連性
ひかわかよさんはこれまでも『放課後カルテ』などで、社会の中で孤立する存在を丁寧に描いてきました。
今回も、表面的には誘拐劇でありながら、実際には「逃げることでしか生きられなかった2人」が心を通わせていく過程が中心に据えられています。
このような深みのあるテーマを描くには、既存の物語構造に縛られないオリジナル脚本という形式が最適だったのではないでしょうか。
「誘拐」から始まるものの、想像もつかない展開が続く作品だと桜田ひよりさんもコメントしています。
つまり、原作がないことはリスクでもありますが、同時に作品の独自性と深さを生み出す最大の武器にもなっているのです。
第1話の感想と気になるポイント
第1話は、想像以上にテンポよく物語が進み、冒頭からラストまで一瞬たりとも目が離せない展開でした。
「誘拐」から始まるというセンセーショナルな導入にも関わらず、重たくなりすぎない演出が施されており、視聴者が感情移入しやすい空気感が全体に漂っています。
特に、主演の桜田ひよりさんと佐野勇斗さんのコンビが見せる絶妙な掛け合いは、ドラマ全体に「逃亡劇」というジャンルを超えた魅力を生み出しています。
展開が速い演出の効果と意図
1話ではすでに“誘拐失敗”から“逃避行”へと物語が加速しており、そのスピード感が視聴者の心をしっかりとつかんでいます。
ドラマの導入部で視聴者の興味を一気に引き込むには、まさに理想的な構成でした。
また、単に事件の謎を追うのではなく、「なぜ彼女は逃げようとしたのか?」という人物の内面に焦点をあてている点が本作の大きな特徴です。
これは、単なるサスペンスでは終わらせないという制作側の意図の表れであり、今後の深掘りにも期待が高まります。
主人公ふたりのキャラクター描写と関係性の揺らぎ
結以は社長令嬢という立場ながら、見た目に反して芯が強く、どこかミステリアスな雰囲気を持っています。
一方の大介は、誘拐犯という肩書きながらもどこか素朴で不器用、嘘がつけない性格がにじみ出ており、視聴者の共感を誘う存在として描かれています。
この二人が逃げる中で徐々に心を通わせていく様子は、“誘拐”という設定を超えて、ヒューマンドラマとしての側面も感じさせます。
そして、今後どう関係が変化していくのか、互いにどんな影響を与えていくのかという点は、物語の軸となる見どころと言えるでしょう。
予想できる伏線と今後の展開
第1話では、まだ多くが語られていないものの、随所に“これからの展開を暗示するような言動”が散りばめられていました。
視聴者がその中から気づきを得られるような余白が多く、今後の伏線としてどのように回収されるのか、考察を深める余地が十分にあります。
特に結以の行動のひとつひとつに、「なぜそこまでするのか?」という疑問を感じさせる描写が多く、彼女の内面や背景に大きな秘密が隠されていることが暗示されています。
“ある秘密”とは? 結以の過去や背景
誘拐された結以は、監禁中でありながら積極的に行動します。
足首につけられたGPS装置を外したいと大介に訴え、その装置を外して捨てるという選択は、彼女がただの被害者ではないことを強く印象づけました。
そして、「想像してみて。あのGPS、犯罪者みたいにずっとつけられていたんだよ」というセリフからは、結以が自分の置かれた環境に対して強い息苦しさを感じていたことが読み取れます。
この一連の行動には、「誰かから逃げたい」という確固たる意志が感じられ、その理由こそが今後の物語の大きな鍵となっていくでしょう。
敵と味方の裏切りと立ち位置の逆転
第1話では、はっきりとした“協力者”や“裏切り者”はまだ登場していません。
しかし、登場人物のそれぞれがどこかしら“本音を隠しているような雰囲気”を漂わせており、今後、立場や関係性が大きく変化していく可能性が感じられます。
例えば、白木という記者の登場や、結以の父・慶志の言動からも、情報を操作しようとする大人たちの影が少しずつ浮かび上がりつつあります。
ここから、誰が本当の味方で、誰が利用しようとしているのかを見極める展開が加速していくのではないでしょうか。
誘拐の理由は表層か、もっと深い陰謀か
一見すると、金銭目的の誘拐事件に見えるこの物語。
しかし、主犯格の突然の死や、大介と結以の逃亡中に見られた結以の冷静かつ的確な判断からは、単なる偶然では片づけられない“何か”を感じさせます。
さらに、次回予告では「27年前の出来事」が関係していることが示唆されており、物語の核心が現在ではなく過去にある可能性が高まってきました。
結以の家族や企業にまつわる因縁、あるいは社会的な背景が徐々に明らかになることで、“ただの逃亡劇では終わらない深み”がこのドラマにはあると感じます。
今後の展開では、このような“二重構造”の物語がどう交錯していくのかが、大きな見どころとなるでしょう。
視聴者が注目したい演出・演技のポイント
本作『ESCAPE それは誘拐のはずだった』は、ただストーリーが面白いだけでなく、演出と役者の演技が絶妙に絡み合っている点にも注目したいところです。
第1話を通して印象に残ったのは、重苦しいテーマにもかかわらず、どこか軽やかさを感じさせる画づくりや台詞のテンポ感。
それらがもたらす“抜け感”が、視聴者にとって心地よい緊張と興味を持続させてくれるのです。
軽快さと重さを同居させる演出バランス
本作の主題は“誘拐”でありながら、重苦しい描写一辺倒にはせず、画面構成や色調、カメラワークに軽やかさを感じるシーンも多くあります。
たとえば逃亡の道中で見せるちょっとした“間”や、“視線のズレ”、“思わず笑ってしまう掛け合い”が物語にリズムを与え、視聴者が深刻な物語に飲み込まれすぎない工夫として機能しています。
こうした緩急のつけ方は、脚本の構成力と演出陣の演技指導の巧みさによるものでしょう。
ふたりの化学反応:緊張と共感の間で
主演の桜田ひよりさんと佐野勇斗さんの演技には、目に見えない“温度差”のようなものが絶妙に存在しており、それが視聴者に強い印象を残します。
例えば、結以の突拍子もない行動に戸惑いながらも、なんとなく受け入れてしまう大介の反応には、“他人同士”だったはずの2人が少しずつ距離を縮めていく空気感が漂っています。
また、口調や歩き方、視線の動かし方など細かな演技が、キャラクター同士の緊張や違和感を上手く伝えており、今後この関係性がどう変化していくかがますます楽しみになります。
ESCAPE それは誘拐のはずだった:まとめと展望
『ESCAPE それは誘拐のはずだった』は、そのタイトル通り「誘拐」から始まる物語ですが、実際には“誘拐をきっかけに動き出す運命”を描くヒューマンサスペンスです。
第1話では、まだすべてが明かされているわけではなく、登場人物たちの真意や過去の因縁、そして事件の裏にある“本当の目的”が小出しに提示されただけにすぎません。
しかしその分、「この先どうなるんだろう?」という期待や考察の余白がしっかりと用意されており、視聴者を次回へと強く引き込む力があります。
また、完全オリジナル脚本であることによって、展開の予測がつかないワクワク感や、原作に縛られない大胆な構成が可能になっているのも魅力のひとつです。
まさにこのドラマの面白さって、“視聴者の違和感”を丁寧に拾い上げて次回への興味につなげていく作りにあると思います。
今後、結以がなぜ逃げようとしているのか、27年前の何が関係してくるのか、大介との関係性がどのように変化していくのか──謎が明かされるごとにキャラクターの深みも増していくことでしょう。
この先の展開で、「ESCAPE=逃げる」という行動の本当の意味が、“過去からの脱却”や“自分らしい生き方を選ぶこと”といったテーマへとつながっていくのかもしれません。
今後も、1話1話を丁寧に追いながら、描かれる伏線や変化に目をこらしつつ考察していくことで、より深く楽しめるドラマになっていくはずです。
「それは誘拐のはずだった」というタイトルが、最終話でどんな意味を持つのか――その答えを探しながら、これからの展開を楽しみに追いかけていきたいですね。
- 完全オリジナル脚本で描かれる逃亡サスペンス
- 結以の冷静な行動に潜む“逃げたい理由”の深さ
- 第1話の伏線が今後の考察を盛り上げる
- 予告に登場する27年前の過去がカギを握る
- 視聴者の違和感を拾い次回への興味を高める構成
- 主演2人の掛け合いが物語の温度を支える
- 今後の展開で“誘拐”の意味が塗り替えられる可能性
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