初恋DOGs演出解説｜涙を誘う名シーン5選と映像美の秘密

2025年夏ドラマ『初恋DOGs』は、その静かな演出と繊細な映像美で、多くの視聴者の涙を誘っています。

本記事では、物語の中でも特に演出が光る名シーン5選を厳選し、映像と音楽の使い方、“間”や視線による感情表現の巧みさを徹底解説します。

さらに、他の日本ドラマや韓国制作の映像手法と比較しながら、『初恋DOGs』がなぜ心を打つのか、その理由を掘り下げます。

撮影構図や光・色彩の演出、ロケーション選びなど、映像美を支える舞台裏にも迫ります。

演出を手がけた岡本伸吾氏・ノ・ヨンソプ氏（STUDIO DRAGON）・伊東祥宏氏のコメントやSNSでの視聴者反応も交え、作品の魅力を多角的に紹介します。

初恋DOGsが涙を誘う理由｜演出面から見る感動の仕組み

ドラマ『初恋DOGs』が放送開始から多くの視聴者を魅了し続けている理由のひとつが、その繊細で計算された演出です。

物語の流れを止めずに、登場人物の心情を自然に伝えるための“間”や、視線の交差、沈黙の時間が巧みに組み込まれています。

特に犬と人間の交流シーンでは、言葉ではなく目で語るという手法が頻繁に使われ、観る者の想像力をかき立てます。

これらの演出は偶然ではなく、演出家・坪井敏雄氏による綿密な意図のもと構築されており、映像、音楽、役者の動きが三位一体となって感情を引き出しているのです。

ここでは、『初恋DOGs』がなぜ「泣けるドラマ」として支持されているのかを、演出面から解き明かしていきます。

台詞の“間”と視線で描く感情

『初恋DOGs』の大きな特徴は、台詞と台詞の間に生まれる沈黙の余白を生かしている点です。

登場人物同士が目を合わせる一瞬や、視線をそらす瞬間にこそ感情の揺らぎが宿ります。

犬との交流シーンでは、役者の細かな表情や犬の仕草が同じカットに収まり、言葉を介さずに関係性の深まりを伝えています。

この「視線の演出」は韓国ドラマの技法にも通じ、視聴者の心を直接揺さぶる効果があります。

無言のまま見つめ合う場面では、BGMを最小限に抑えることで、緊張感と切なさがより鮮明に感じられます。

犬と人間の物語が交差する構成

本作は、犬同士の恋や友情と、人間の初恋・家族愛が並行して描かれる構成になっています。

犬の健気さや一途さが人間ドラマの伏線として作用し、二つの物語が交差する瞬間に強い感動が生まれます。

例えば、犬が人間キャラクターの感情を代弁するような視線を送るカットや、犬の行動が人間の決断を促す場面は、構成の妙を感じさせます。

視聴者は犬と人間、両方の感情の流れを同時に追うことで、物語への没入感が高まり、涙腺が自然と刺激されます。

演出家陣の感情表現手法

『初恋DOGs』では、岡本伸吾氏、ノ・ヨンソプ氏（STUDIO DRAGON）、伊東祥宏氏という3人の演出家による共同体制が映像にもたらす深みが特筆されています。

岡本伸吾氏は、ストーリーの意図に基づいてロケ地、衣裳、カット割り、美術などを精緻に決定していく“現場で「決断する演出家”として知られています。視覚的要素を通じた演出設計力が高く、映像の座りの良さと意図の明確さに定評があります。

ノ・ヨンソプ氏は、韓国的なドラマチックな演出スタイルをベースに、感情の起伏を視覚的に際立たせるドラマ演出のスペシャリストです。前作『無駄なウソ―誰にも言えない秘密―』などでその技巧が発揮されています。

伊東祥宏氏は、優しさと頼もしさを現場にもたらす演出家として知られており、キャストやスタッフの安心感を引き出す現場づくりに定評があります。作品の表情づくりにも柔らかさと信頼感を宿らせます。

この3人の個性が融合することで、視線と“間”、沈黙を伴う台詞、光と色彩、構図が一体となった演出表現が生まれ、『心で観るドラマ』として深い記憶に残る作品になっています。

名シーンで解説する初恋DOGsの演出

ここからは、ドラマの魅力が凝縮された名シーンをピックアップし、演出面からその感動の秘密を紐解きます。

第3話｜将軍が駆け戻る海辺の瞬間

第3話では、白崎快（成田凌）が愛犬・将軍をウ・ソハ（ナ・イヌ）に「幸せになってほしい」と託す覚悟を決める場面が描かれます。

しかし、ソハがリードから手を離した一瞬の隙に、将軍は全力で快のもとへ駆け戻ります。

走り寄る将軍の姿をスローモーションで捉えた直後、快のそばを離れようとしない将軍と、嬉しさと切なさが入り混じった快の表情が映し出されます。

その何とも言えない絆の描写が、言葉を超えて視聴者の胸を熱くし、涙を誘います。

静寂の中に感情があふれる、まさに“見る者の心を揺さぶる演出”が光る瞬間です。

第5話｜愛子が快に告げる初恋

第5話では、愛子（清原果耶）が快の家を訪れ、ついに心に秘めてきた思いを口にします。

「私の初恋は白崎さんです」――その告白の瞬間、部屋を包む温かな照明と控えめなBGMが、緊張と安堵の入り混じった空気を演出します。

二人の視線の交わりや間の取り方が、観る者の想像力を刺激し、言葉以上に深い感情を伝えます。

この場面は、日常の一コマに潜むドラマ性を丁寧に切り取った『初恋DOGs』らしい名演出です。

これらのシーンは、映像美、沈黙の“間”、そしてキャラクターの仕草を巧みに組み合わせ、「心で観るドラマ」としての魅力を強く印象づけています。

映像美が生む感情｜日韓共同制作の魅力

『初恋DOGs』はTBSとSTUDIO DRAGONによる初の本格的な日韓共同制作であり、両国の演出スタイルや美術理念が融合した映像美が最大の見どころです。

韓国側プロデューサーは、文化的な違いを越えて「感情」への共感を届ける創作プロセスが醍醐味だと語っており、制作現場でも「良い作品を作る基準」に高い合意が得られていたといいます。

セットやロケーション、美術面では、温かみとリアリティを兼ね備えた実用的なデザインが意識されており、韓国ドラマのような“映像の華やかさ”と日本ドラマの“日常の繊細な質感”がバランスよく融合しています。

さらに、美術の空間演出では、例えばキャラクターが過ごす部屋の小物や紙袋に至るまで意味を持たせるこだわりがあり、映像に深みを与えています。

このように、日韓の演出手法が交わり、視覚的・感情的に豊かな世界観が創り上げられていることが、『初恋DOGs』を“心で観るドラマ”へと昇華させる鍵となっています。

静けさが語る｜セリフに頼らない表現力

『初恋DOGs』の大きな魅力の一つが、セリフに頼らず感情を伝える演出です。

台詞を最小限に抑え、視線や仕草、そして空間に漂う“間”によって、登場人物の内面が自然に視聴者へ届きます。

公式インタビューでも、演出陣は「感情を説明しすぎない」ことを意識していると語っており、その結果、視聴者は物語の余白に自分の感情を重ねることができます。

表情や仕草で見せる心理描写

例えば、快（成田凌）が愛子（清原果耶）に視線を向けるときの、わずかな目の動きや口元の緩みは、セリフ以上の感情を語ります。

犬との再会や別れの場面でも、俳優の仕草や犬の自然な動きが感情表現の中心となり、視聴者は登場人物と同じ時間を共有しているかのような没入感を味わえます。

この“語らない演技”は、日韓両国の演出ノウハウが融合して生まれた本作ならではの魅力です。

BGMと環境音が感情を増幅させる仕掛け

静かな場面ではBGMを控えめにし、風の音や犬の足音など、現場の環境音を効果的に取り入れています。

たとえば、第3話の海辺のシーンでは、波の音が背景に流れ、登場人物の感情の揺らぎをそっと包み込みます。

一方、第5話の告白シーンでは、BGMを極限まで絞り、呼吸や衣擦れの音すら感情表現の一部となるよう計算されています。

見せない演出で生まれる余白

感情の爆発や葛藤をあえてカメラに映さず、結果や余韻だけを提示する「見せない演出」も多用されています。

視聴者はその余白に想像を広げ、自ら物語を補完することで、より強い感情移入が生まれます。

これは、制作陣が一貫して大切にしている“視聴者と共につくる感情”という姿勢の表れです。

視聴者の反応とSNSでの評価

FilmarksやSNS、ニュース記事などでは、キャストの演技や物語展開へのリアルな反応が多数寄せられています。視聴者の声を通じて、作品の印象や記憶に残る演出が見えてきます。

好意的な反響と“かわいい”評価

SNS上では、「ナ・イヌかっこよすぎるんだが？顔ちっさー!!」「将軍が“もふもふで癒し”」など、俳優と犬の魅力に注目が集まりました。

また、6話でのソハ（ナ・イヌ）による直球の告白シーンには、

「シンプルストレートな告白も良すぎる」「思わずテレビの前で拍手してしまいました」

といった声が多数投稿され、SNSで大きな反響を呼びました。

反発やツッコミもリアルに

一方で、展開への“ツッコミ”も忘れられません。第3話では快の反応の薄さに、「冷め具合異常すぎw」「そうなんだの冷め具合異常すぎ」と視聴者がクスリとするコメントも。

Filmarksに見る賛否と視聴者層の広がり

レビューサイトFilmarksでは、

「とにかく、ナ・イヌさんが素敵！あと将軍とサクラがカワイイ。」（2.8点）
「清原果耶ちゃん目的なんだけど、ドラマとしては微妙だな。」（2.5点）

といった投稿があり、キャストへの期待と物語の評価が分かれるリアルな声が見受けられます。

こうした視聴者コメントは、作品が“犬や演者の魅力”“感情の一瞬の揺らぎ”“共感を呼ぶ告白シーン”など、さまざまな切り口で共鳴していることを示しています。

演出家インタビュー＆制作秘話

ここでは、制作陣や出演者の声から『初恋DOGs』の演出意図や現場の裏側を紹介します。

プロデューサーが語る日韓共同制作の価値

プロデューサーの宮﨑真佐子氏は、日韓共同制作によって「異なる文化や撮影スタイルを持ち寄ることで、感情表現の幅が広がった」と語ります。

特に、韓国ドラマ特有の映像的華やかさと、日本ドラマが持つ日常の細やかな質感を融合させることを意識し、“普遍的に届く感情表現”を目指したといいます。([topics.tbs.co.jp](https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=21812&utm_source=chatgpt.com))

ナ・イヌ（ソハ役）が明かす撮影秘話

韓国俳優・ナ・イヌさんは、日本語での演技が大きな挑戦だったと振り返ります。感情のニュアンスを異国語で伝える難しさと同時に、それが俳優としての成長にもつながったと語っています。

また、海辺の撮影中に指輪を紛失し、スタッフが発見してくれたエピソードも明かし、現場の温かい雰囲気が伝わります。([realsound.jp](https://realsound.jp/movie/2025/07/post-2088441.html?utm_source=chatgpt.com))

完成披露試写会での和やかなやり取り

完成披露試写会では、ナ・イヌさんが「行きつけ」という日本語を覚えた話で会場が笑いに包まれました。さらに清原果耶さんから「きれいな女性」という言葉を教わり、その場の空気をさらに和ませました。([square.unext.jp](https://square.unext.jp/article/hatsukoi_DOGs-event-report?utm_source=chatgpt.com))

美術チームが仕掛ける“気づき”の演出

美術スタッフは、物語やキャラクターに関連する小物をさりげなく配置し、視聴者が無意識に世界観を感じ取れるよう工夫しています。

特に、ナ・イヌさんのファンダム名「ヌルンジ（nurungji）」を紙袋デザインに取り入れるなど、遊び心とキャラクター性を結び付けた演出が話題になりました。([topics.tbs.co.jp](https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=21783&utm_source=chatgpt.com))

動物病院シーンのリアリズム

動物病院の場面は、有藤翔平獣医師の監修のもとで撮影されました。診察台や医療機器の配置、犬の抱き方に至るまで細かく指導が入り、リアルで説得力のあるシーンに仕上がっています。([topics.tbs.co.jp](https://topics.tbs.co.jp/article/detail/?id=21752&utm_source=chatgpt.com))

日韓の制作チームが生んだ温かな現場

撮影現場では、監督と俳優が即興的にアイデアを出し合い、互いの文化や感性を尊重しながら演出をブラッシュアップしていきました。

ナ・イヌさんも「監督と一緒に作っていく現場が楽しかった」と語り、チーム全体の一体感が作品の温かさにも繋がっています。([realsound.jp](https://realsound.jp/movie/2025/07/post-2088441.html?utm_source=chatgpt.com))

まとめ｜初恋DOGsが残す余韻の理由